本文へ

ブログ更新~Let’s enjoy sports!~オリンピックイヤーの幕開け!

少々遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。いよいよオリンピックイヤーが幕を開けました。半世紀に1度来るか来ないかのオリンピックです。私は残念ながら今のところ観戦の予定がありません。二次募集を申し込みましたが外れてしまいました。。。それでもまだ50万枚ほど残っていて今後発売があるようなので、その機会に購入を試みたいと思っています。

さて、オリンピックが商業主義になった分岐点は1984年のロサンゼルスオリンピックで、組織委員長のピーター・ユベロス氏が入場料収入・放映権料収入・グッズ販売収入・スポンサー収入を導入したことに端を発しています。今となってはそれらの活動が当たり前のことになっていますが、かつてのオリンピックの開催は国威発揚が最大の目的で、国が税金を投入して行われていました。現代のオリンピックはビジネス化されて儲かるコンテンツになっているかと思いきや、それは過去の話で、今は開催するための準備費用に莫大な資金がかかるため、儲かるコンテンツではなくなりつつあります。一昔前は、オリンピック開催地に多くの都市が立候補しましたが、お金がかかりすぎることから徐々に減ってきているのが現実です。

今回の東京オリンピックが1964年以来の開催となることは多くの方がご存じの通りですが、実は2016年のオリンピックにも立候補していたものの開催が叶わなかったことはあまり知られていません。当時、東京都は石原都政で、オリンピック開催の機運を高めるために様々なスポーツイベントを企画しており、その当時広告代理店に勤務していた私は、その仕事を入札コンペで獲得して実施しました。東京国際ユースサッカー大会はU-14年代の試合で、南米や欧州から強豪チームを招いて大会が行われました。2008年から行われていて、その大会エンブレムの制作にも携わったことは懐かしい思い出です。また、バドミントンと柔道の中学生年代の国際大会も過去には行われていて、スポーツにおいて強化課題となっていた世代の大会を東京都は税金を投入して開催していました。湘南高校サッカー部出身の石原慎太郎氏は、表に出て派手なパフォーマンスをするタイプの人ではありませんでしたが、最大の競技人口を誇るサッカーでも中学生年代の大会が少なく、海外勢と試合をする機会がなかった中で、このような大会が開催されることは、選手や関係者にとっては当時とても意義のあることでした。

私が懸念するのは、オリンピックが終了して、多くの人の目が届かない、例えば東京国際ユースサッカーのような大会が開催されなくなる等、スポーツに対する熱が下がっていってしまうことです。私にも幼い子どもがいますが、公園に遊びに行っても「野球・サッカー禁止」の看板がどこへ行っても立てられており、街中で親子や友達同士でキャッチボールをしたりボールを蹴ったりすることはほぼ不可能な状況になってしまっています。子どもたちの体力低下が問題視されているそんな状況の一方で、多くのスポーツで小学生や中学生などの若い年代の活躍が目立っています。これは、スポーツにおいても一般社会同様に二極化していることを表していると私は考えます。そもそも東京オリンピックを開催する理由のひとつには、スポーツ実施率の向上により、国民の健康を促進することで社会福祉にかかる費用を少なくすることがあるのです。以前、高度経済成長期の長閑な時代は、公園で野球とサッカーをする少年やバレーボールをする少女の姿は当たり前の光景でしたが、今ではそうした光景は見ることができない世の中になっています。エリートスポーツの発展ももちろん大事ですが、子どもたちが日頃、気楽にスポーツができる環境を整えるのも大事なことなのではないでしょうか。

エリートスポーツの強化と同時に一億総スポーツ社会の両輪を目標に掲げ、今回のオリンピックを機に誰もがスポーツで楽しい生活が送れるような社会の実現を望みます。

著者プロフィール

佐々木 達也

佐々木 達也(東京都出身)

・城西大学 経営学部 准教授  スポーツマーケティング・マネジメント分野領域を専門とする。
・早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。
・大手総合広告代理店にてスポーツに関する業務に携わり、Jリーグクラブ勤務後、金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科講師を経て現職。現在もJ2ツエーゲン金沢シニアアドバイザーを務める。